一つ上の視点を持つ - 新卒準備カレンダー2011春 #newgrad2011 - by @masaru_b_cl
※写真はFlickrから拝借しました。
「新卒準備カレンダー 2011春 : ATND」の26日目として、寄稿させていただきます。
(ひとつ前は@kenji_rikitakeさんの並行な混沌: 挫折の先に見えたものです。)
ところであなたは?
2003年春に新潟県長岡市にある中小システムインテグレーターに新卒として就職した、いわゆるシステムエンジニアです。設計から実際にプログラミング、さらにシステム管理のようなこともやっています。
個人的に一番力を入れているのは.NET界隈で、主にC#をメインに使っています。ただ、仕事ではJava、SQL、VB、etc...と、そのプロジェクトごとに毎回違うプラットフォームでの開発となります。
仕事以外の活動としては、まずはblog「http://blogs.wankuma.com/masaru/」での情報発信、「長岡 IT開発者 勉強会(NDS)」でのセッションスピーカー、書籍執筆(かんたんASP.NET (プログラミングの教科書))などを行っています。
そして、家に帰れば、3歳になる息子の子育てに苦労する毎日を送っています。
今回伝えたいこと
私がみなさんに伝えたいことは「一つ上の視点を持つ」ことの大事さです。
みなさんが新人として仕事をするとき、まずは全体から見ればごく一部分の何らかの「作業」を担当することになると思います。たとえば、詳細設計書を渡され一つの機能のプログラミングを行ったり、何らかのドキュメント作成を指示されたりといったことです。
与えられた仕事は、先輩社員達のようなある程度経験がある人間にとっては簡単なことかもしれません。しかし、おそらくみなさんにとってはかなり苦労することもあるでしょう。そして、次から次へと作業が降ってくるはずです。そんな時はどうしても作業に忙殺され、余裕がなくなってしまいます。
でも、そんな中だからこそ「一つ上の視点」を持ってもらいたいのです。「一つ上の視点」とは、目の前のことではなく、自分の置かれた状況を「俯瞰して」見ることです。
たとえば、次のようなものです。
- ひたすら降ってくる作業をこなす
→自分がいまどのような作業をどのくらい抱えているのか考える - 設計書通りに作る
→なぜそのような設計になっているのか考える - 指示された作業を指示通りに行う
→その作業にどんな目的があるのか考える
このように視点を変えることで、目の前のことだけ見ていた時とは違うことに気付けるようになります。
- 作業の優先度をつけて効率的にこなせるようになる、自分の能力を明らかに超えた作業を断りやすくなる
- 設計上の不具合に気付きやすくなる
- 目的から外れたあさっての方向を向いた作業を行うことがなくなる
「一つ上の視点」に慣れてきたら「二つ上」、「三つ上」とどんどん視点を上げていくのもよいでしょう。具体的には次のような感じです。
視点 | 例 |
---|---|
↑ | 自分の目標 |
| | 会社の目標 |
| | 部署の目標 |
| | プロジェクトの目標 |
| | 作成するシステムの目的 |
| | 担当機能が属するサブシステムの目的 |
| | 担当機能の設計の目的 |
| | 担当機能の設計 |
↓ | 担当機能の実装方法 |
このように、それぞれの視点で自分のやるべきことを考える癖をつけておきましょう。
「一つ上の視点」を得るためには
とはいえ、いきなり「一つ上の視点」を持てと言われても、どう考えたらよいかわからないですよね。そこで「一つ上の視点」を得るためにどのようなことをしたらよいか、私の経験で恐縮ですが紹介しようと思います。
何よりもまずは現状把握
建物を作るにしても、土台がしっかりしていなくては上に立つ建物は決して頑丈とは言えません。それと同じで、まずは土台となる「目の前のこと」について、それぞれが今どのような状態で、何をいつまでにしなければならないか、などを整理しましょう。目の前のことが把握できると、それだけで「一つ上の視点」で考えやすくなります。
なお、整理する方法は何でもいいのですが、個人的にはGTDの手法をお勧めします*1。
本やWebの記事などを読む
「視点」を変えるためには、必要な知識を持っていることも重要です。プログラミングの手法に関する本、設計に関する本、マネジメントに関する本、会計に関する本、経済に関する本、etc...とあらゆる方面の本やWebの記事を読みましょう。全く関係がないと思える分野の本を読んでいて、思いがけず参考になる記載を見つけることもままあります。
先輩、上司の考えを知る、考える
先輩、上司は皆さんが働く環境での「一つ上の視点」を持っている、一番身近な存在です。まずはそういう意人たちから「一つ上の視点」での考えを聞いてみましょう。おそらくは、みなさんが想像しやすい範囲での経験や考えを教えてくれるはずです。
そしてその後は、もし自分がその人たちの立場だったらどう考えるかイメージしてみましょう。
まとめ
- 目の前の作業に忙殺されず、常に「一つ上の視点」を意識しよう
- 一つ上の視点を持つには、まず土台となる「目の前のこと」をしっかりと把握しよう
- そのうえで、本やWebサイト、先輩社員の経験談、考え方などを学び、徐々に視野を広げていこう
おすすめの書籍、Webサイト
- 作者: デビッド・アレン,田口元
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2008/12/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 127人 クリック: 1,493回
- この商品を含むブログ (302件) を見る
- 作者: Joel Spolsky,青木靖
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2005/12/01
- メディア: 単行本
- 購入: 18人 クリック: 371回
- この商品を含むブログ (451件) を見る
- 作者: Joel Spolsky,青木靖
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2009/04/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 12人 クリック: 166回
- この商品を含むブログ (94件) を見る
- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2009/11/17
- メディア: 新書
- 購入: 28人 クリック: 1,154回
- この商品を含むブログ (135件) を見る
*1:「すべてのこと」を一連の流れで収集、管理するための手法。詳しくは紹介する書籍を参照。